緑花ガイド

ユズリハ

ユズリハは、「譲葉」の意で、光沢のある深緑色の大きな葉があり、縁起のよい植物として正月に飾る習慣があります。
 正月にユズリハを飾るのは、葉が常にみずみずしく、つややかな緑色をしているので、これにあやかりたいと願うため、そして他の植物と違って切り取ってもなかなかしおれないので正月の期間中長く飾るのに都合がよいため、春に新葉が出揃ってから古い葉が落ちるので、親が子に財産を相続するようであるというので名づけられたものです。また、旧年から新年にすべてを譲り、気持ちを新たにする意味からも正月に飾られました。

本州中南部の暖地、四国、九州の山林などに自生する常緑高木で、高さ3~10mになり、幹は直立して太く、葉は枝先に集まってつき、長さ15~20㎝の長楕円形で、縁には鋸歯がなく、裏面は白色を帯び、葉柄と若葉は紅色。

雌雄異株で、花は前年枝の葉の付け根につき、緑黄色で小さく、ガクも花弁もなく、雄木の花は8~10本の雄しべのみで、雌木の花は子房と退化した雄しべがあります。

ユズリハ
ユズリハ
ユズリハ 葉柄と新芽が紅色
ユズリハ 葉柄と新芽が紅色

葉に斑が入るフイリユズリハ、葉柄と若枝ともに赤色を帯びず緑色のアオジクユズリハ、北海道と本州中北部の日本海側に自生するエゾユズリハ、ユズリハより葉が小さく福島県以西の本州と四国、九州、沖縄に分布するヒメユズリハなどがあります。

植え付け

新芽の出ないうちに植えるか、7月上旬ころ新枝の伸びが止まって葉が固まってから植え付けます。秋に向かっての植え付けは避けます。
 暖温帯から亜熱帯に生育する暖地性の植物で、陰地を好み、大きな樹木や建物の陰になる所に植えれば、よく生長します。
 単植やほかの樹木と混植することもでき、土壌はやや湿り気に富んだ有機質の多い場所を好みます。植え穴は、やや大きめに掘り、元肥として堆肥や腐葉土を十分にすき込んで植え付けます。

整枝・剪定

6月下旬~7月、または11月から12月に、混みすぎた枝をすかして、樹形を整えます。

繁殖

10月に成熟した種子を採り、湿った砂に貯蔵しておき、3月下旬~4月上旬に蒔きます。蒔くときは、果肉を取り除き、水洗いしてから蒔きます。

施肥

2月と9月に、根元の周囲に溝を掘り、堆肥、腐葉土、鶏ふんなどを施します。

病中害

アブラムシやカイガラムシの発生期には、殺虫剤を散布して防除します。また、冬期に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布しておくことも効果的です。

フイリユズリハ
フイリユズリハ
フイリユズリハ 白覆輪
フイリユズリハ 白覆輪
フイリユズリハ 黄色中斑
フイリユズリハ(黄色中斑)
ヒメユズリハ 白覆輪<br>葉は垂れない 葉色は緑色に白の斑入り
ヒメユズリハ 白覆輪
葉は垂れない 葉色は緑色に白の斑入り