緑花ガイド

スズラン(ドイツスズラン)

 「スズラン」には、北海道の平地や中部以北の山地の森林樹下に野生する日本種と、ヨーロッパ原産のドイツスズランがあります。
 日本種はやや小形で小輪、花数も少なく香りもあまり強くはありません。
 ドイツスズランは、大柄で葉は濃緑色、花は大きく花数も多く、香りも強く、切花栽培にも適しています。ヨーロッパでは、5 月祭に欠かすことのできない花です。
 スズランの名で園芸店で売られているのは、ほとんどがドイツスズランで、白花のものが多く、まれに淡桃色花のものや、斑入り葉、八重咲き種もあります。
 スズランは有毒植物の一種で、猛毒物質を含むので、取り扱いには十分注意し、絶対に口にしないようにします。

植え付け

 夏の冷涼な日当たりのよい高原や原野に生えているので、庭などで栽培する場合にもそれに近い場所を選んで植えつけます。暑さには弱いが耐寒性のある丈夫な宿根草で、日のよく当たる場所がよく、夏の地温の上昇と乾燥を防ぐために、堆肥や腐葉土をあらかじめ多めに入れておきます。落葉樹の下などに植えることもできますが、完全な日陰地では花つきが悪くなります。よく花をつけさせるには、午前中の半日くらい日の当たる場所が適しています。  市販されているスズランの芽は、花芽つきの地下茎で、植える場所に腐葉土を多くいれて、芽が少し隠れる程度の深さに植え付け、乾燥しないように上から敷きワラをしておきます。

鉢作り

 鉢植えの場合には花芽を10~11月に、4号鉢に3芽程度植えつけます。用土は腐葉土と畑土を等量混合したものを使います。植え付けが終わったら鉢を土に埋め込んでおき、上から敷きワラをしておきます。1 月ごろになったら鉢を暖かい部屋の窓辺などに置いておくと、5 0 日くらいで開花します。植えてすぐに暖かい部屋に入れると、生育も悪く開花も遅れるので、1 ヵ月以上寒さに当てて、休眠が破れてから暖かくしてやります。肥料は潅水代わりに薄い液体肥料を月2回程度与えます。  園芸店などで売られている鉢植えは、促成栽培されているものが多く、そのままでは株の生育が悪く、次の年には花が咲かないことがあります。花が終わったら大きい鉢に植え替え、夏の間はハイポネックス1000倍液を月2~3回与え、乾かさないように十分潅水してやります。

花後の管理

 花後の葉を切り取ってしまうと、株が太らなくなるので、自然に枯れるまでそのままにしておきます。また、葉を病虫害で傷めたり、夏の乾燥で弱らせることもよくありません。乾燥地では敷きワラをして乾きを防ぎ、秋まで葉を青々と茂らせておくことが大切です。

肥料

 植え付け時に化成肥料を元肥として与え、発芽した時と開花後に液体肥料などを追肥します。花後に株をよく太らせることが、翌年の花つきをよくするので、花後から夏ころまでに必ず追肥をします。

殖やし方

 植えつけて3年も経つと密植になって、生育が悪くなってきます。花後、秋までに新しい地下茎が育ち、その先端に新芽を形成して殖えるので、これを1 1 月ころか3月ころに掘り上げて株分けして殖やします。花芽つきの地下茎を植えた場合は、翌年は2 個の葉と1 本の花茎が出ますが、葉芽を植えると葉が2 個出るだけで、翌々年にならないと花が咲きません。花芽は丸味を帯びて太いので、細長い葉芽とすぐに区別できます。  実生でも殖やすことができますが、開花までに5年以上かかり、また開花不良の株がでやすいのであまり行われていません。

病虫害

 病気としては、白絹病が発生しやすいので、ベンレートなどの殺菌剤を散布して防ぎます。発生したときにはこれをジョーロで株元に散布します。