緑花ガイド
センリョウ・マンリョウ
昔から「千両・万両・アリドオシ」といって、暖地では三つの赤い実のなる植物を縁起のよい木として植えていました。
どちらも小さな実がたくさんつきますが、科の異なるまったく別の植物です。
このほか、カラタチバナを百両、ヤブコウジを十両として植えることがあります。
植え付け
どちらも暖かい場所に自生しており、高温、多湿で腐植質に富んだ砂質壌土を好みます。日陰になりやすい場所でも育ちますが、乾燥地や寒風の当たる場所は避けます。
4月から5月上旬か9月から10月上旬に、やや日陰になった湿度の高い場所で、水はけ、水もちのよい肥沃な場所を選びます。
大きめの植え穴に堆肥をたっぷり混ぜ、根鉢をあまりくずさないように植えます。
施肥
油カス、骨粉、粒状化成肥料などを1~2月と9月に与えます。リン酸とカリ分を多く含む肥料がよく、窒素分は少なめにします。
病害虫
ほとんどありませんが、鳥が実をついばんでしまうことがあります。
実のつき方
センリョウは、夏ごろに新梢の先端に花芽が作られ、花は翌年の6~7月に、少し枝を伸ばした先に、ガクも花弁もない黄緑色の細かい花が咲き、結実します。果実は、茎の頂部に集まってつき、秋から冬にかけて赤く熟します。
マンリョウは、夏ごろに葉腋から出た短枝に花芽が出来て、翌年6~7月に開花し、結実します。秋から冬につややかな赤い果実が熟し、緑色の葉とともに庭を彩ります。翌年5~6月まで実がついています。
剪定
センリョウは、放任しても枝を多数出して自然に樹形を整えますが、枝が密生して通風が悪くなると、葉を落としやすくなります。
12~1月中旬までに、樹形を乱す枝や、開花しないような細い枝、実をつけた枝を付け根から切り取って整理します。
実がついた枝は、地ぎわから切り取り、切花としても利用できます。
マンリョウは、小枝を出さず、直上した樹形になります。萌芽力が弱いので、大きくなりすぎた枝を切り詰める程度にします。切り詰めると2~3年は結実が見られません。
殖やし方
センリョウは、株分け、実生で殖やします。株分けは、4月頃に大株を選んで、2~3本を一株に切り分けて植えます。実生は、果肉を取り除いて種子を保存し、翌年3月~4月上旬に蒔きます。
マンリョウは、実生、さし木で殖やします。実生は、初春までついている果実を採り、果肉を除いて乾かないように貯蔵した種子を3~4月に蒔きます。結実までに4~5年かかります。さし木にするときは、7月に5~6cmに切った枝を、赤玉土か鹿沼土にさします。
ヤブコウジ(十両)
日本各地の丘陵地に自生する高さ10~30cmの常緑低木で、江戸時代には多くの園芸品種が作られました。正月用の松竹梅の寄せ植えや飾り物に使われます。
カラタチバナ(百両)
漢名は百両金。日本の暖地の山野に自生する高さ30cm内外の常緑低木で、性質もマンリョウによく似ています。葉は、マンリョウよりも細く、実は秋に鮮紅色に熟します。
アリドオシ
日本の関西以西の暖地の樹林下のやや乾燥した場所に自生し、高さ30~60cmで横に広がり、多くの小枝を出し、葉と同じ長さの鋭いトゲがある常緑小低木。花は、白色で、果実は冬に赤く熟します。