緑花ガイド
山菜摘み ~ 身近にある食べられる植物 ~
山菜採りのマナー
野山に生える生命力の強い植物でも、乱獲を繰り返せば枯れ果ててしまいます。長くみんなで楽しむためにはマナーを守ることが大切です。
◎ ゼンマイ、コゴミなどは地下茎から十数本まとめて若芽を出すが、このうち小さいものや細いものは数本残しておきます。来年もまた同じ場所に芽を出すように。
◎ タラノキ、コシアブラは一番芽を採ったあとに出てくる二番芽、三番芽は採らないで残しておきます。全部採ってしまうと木が枯れてしまいます。
◎ 必要な部分だけ採ること。根を使う以外は、根ごと引き抜かない。
◎ 食べられない植物と間違えないこと。よく似た植物にも有毒植物があります。
キツネノボタン、タガラシ、トリカブト、スズラン、ヒガンバナ、ウラシマソウ、クサノオウ、ドクゼリ、ハシリドコロなどは採らないようにしましょう。
フキノトウ
キク科の耐寒性宿根草。日本列島の北から南までの、半日陰地で湿り気のある場所に広く分布している。地上部は「フキ」といい、食用になる。冬になると地上部は枯れ、早春に地下茎の節から苞に包まれた花蕾が伸びてくる。これが「フキノトウ」で、その芳香と苦味を賞味する。苞がまだ蕾をしっかりと包んでいるもののほうがよい。蕾をそのままてんぷらにしたり、細切りにして油みそや吸い物にする。
セリ
セリ科の多年草。田の中、あぜ道、浅い溝などの湿地に、競り合うように生える様子から「せり」の名がついたといわれる。春の七草のひとつで、古くから若苗を摘んで食用にされてきた。店先に並ぶ丈の長い大ぶりの栽培されたものより、野生のもののほうが風味がよい。
ヨモギ
キク科の多年草。本州以南の山野に普通に生える。モチグサともいわれ、草モチにつき込む草として、なくてはならないもの。やわらかい新芽を摘み、重曹を入れた湯でゆがき、水にさらして細かくきざんだものを、モチと混ぜて使う。葉裏の白い綿毛を集めたものがもぐさで、お灸に使う。
ツクシ
トクサ科の夏緑性のシダ植物。日当たりのよい野原や道端などに生える。柔らかい多年草で、地中を這う共通の根茎から栄養茎(スギナ)と、胞子茎(ツクシ)を出す。若いツクシは、はかまを取り、おひたしや佃煮などにする。食べておいしいツクシは、頭がずんぐりしていて茎が太く、はかまの間隔があまり離れていないみずみずしいものがよい。
イタドリ
タデ科の宿根草。日本全土の山野に自生する。草丈1~2m。やや先の尖った卵状楕円形の葉を互生する。若葉のころは紅紫色になる。若い茎を採り、皮をむいて生でかじると、酸っぱさと清涼感があって、さっぱりとした味がする。また、ゆでて水にさらし、あえものや酢のものにする。
ノビル
ユリ科の多年草。土手やあぜ道、道端などに生える。「ヒル」は「ニンニク」のこと。地中に白い球根がある。葉は細くてやわらかい緑白色で、長さ約30㎝になる。一年中いつでも掘りとれる。水でよく洗い、白い球根を酢味噌あえで食べる。
アシタバ
セリ科の多年草。伊豆七島の黒潮に現れる海辺に自生している。今日ちぎった葉が、明日にはもう次の葉が出ているほど元気のいい植物で、一年中つやつやした葉が茂っている。若芽をてんぷらや茹でて三杯酢などで食べる。
ワラビ
イノモトソウ科の宿根草。春を告げる山菜の代表。日本全土の野原から山地までの、日当たりと水はけのよい場所に生える。地下茎が地中に長く伸び、春にこぶしを突き上げるように新芽が出る。春から夏にかけて、こぶし状の若芽を折り取り、木灰をまぶして半日置いてから、熱湯をかけ、重石をのせて一晩おき、水洗いしてから食用とする。
クサソテツ (コゴミ)
オシダ科の宿根草。北海道から九州北部にかけての湿った林の中や笹やぶの中に群生する。葉が開く前の姿が屈んで見えるところからコゴミとかコゴメとか呼ばれる。春に四方に伸びた細長い地下茎から数枚から数十枚の葉が集まって出てくる。春に出る葉は栄養葉といって食用になるが、秋に出る葉は裏に胞子がついているので食べられない。春に葉の先がくるくると巻いている若い葉を、おひたしやあえもの、炒めものなどにする。
ウド
ウコギ科の宿根草。日本全土の山間部に生え、草丈は1~2mほど、茎は太く、葉は羽状複葉で互生する。10~30㎝までの若茎を、葉はてんぷら、茎は皮をむき、生のまま酢味噌和えや三杯酢などで食べる。
コシアブラ
ウコギ科の落葉高木。平地から高山の林中に生え、木の樹脂を漉して塗料を取ったことから漉し油の名前がついた。4~5月の若芽を、おひたし、バター炒め、ごまあえ、てんぷらなどにする。
タラノキ
ウコギ科の落葉低木。全国の山野や荒地に生える。樹皮の色が鱈の皮膚の色に似ているからその名がついた。幹はあまり分枝せず、直立し、4mほどになる。葉は10cmほどの大形で、2回羽状複葉、茎や葉に大小の鋭いトゲがある。山菜の王様といわれ、最近では乱採されて、枯れた姿がよく見られます。春、5~15cmに伸びた若い芽を、てんぷらなどにする。