緑花ガイド
サボテン
サボテンは、南北アメリカ大陸とその周辺の島々から西インド諸島やガラパゴス諸島に自生しています。分布の北限は北緯55度付近から南緯55度付近にまでに及び、垂直分布は低地の海岸から標高4000mを越す高山に及びます。
サボテンは、一般に砂漠に生きる植物と思われていますが、実際は他の草や低木が生存できないほどの砂漠に自生するものはほとんどありません。木の葉サボテンやウチワサボテンは比較的肥沃な土に生え、柱サボテンや球形サボテンは風化した岩石の割れ目や他の植物の根ぎわに育ちます。年間の降雨量は極めて少なく、長い乾期と短い雨期が交互に訪れるような場所が多く、年間を通じて雨らしい雨の降らない内陸山地では霧が発生して、その結露が降雨の役割を果たしています。
サボテン科の植物は、普通三つのグループに分けられます。
1.木の葉サボテン・・・・・・普通の樹木と変わらぬような葉をもち、一見するとミカンの木のような感じがします。サボテンのイメージとはほど遠く見えますが、葉の付け根にはサボテン科の特徴である刺座があり、そこから刺を生じます。
2.ウチワサボテン・・・・・・シャモジのような形をした茎節を重ねて育つサボテン類。茎節は扁平のほか円筒形、卵形、棒状、球状などさまざまな形があります。刺座は、針状の刺とともに細かな刺が多数あり、触れると簡単に刺さり、抜けにくいので取り扱いには注意が必要です。
3.柱サボテン・・・・・・サボテン科中、最も多くの種類があり、細柱状、太柱状、円筒状、球状、扁球状などさまざまな形があり、大きさも一円玉に満たない小さなものから10m以上にもなる柱サボテンまであります。球形のサボテンもこのグループに含まれます。
育て方
サボテンは、生命力の強い植物なので、基本さえしっかりふまえて栽培すれば、決してむずかしいことはありません。サボテンを栽培するうえで大切なことは、できる限り長時間日光に当てることで、とくに冬は不足になりがちになり、この時期に日照不足になると、その後うまく生育しないことがあるため、冬でも1日に4時間以上は日に当てるようにします。サボテンは、高温にも低温にも強い植物ですが、0℃以下の極端な低温、45℃以上の高温は避けます。春から秋にかけては通風を良くし、温度の上がりすぎを防ぎ、日射が強い時期には日焼けを起こすことがあるので、日光が不足しない程度に遮光します。冬は、5℃前後に保つように保温し、春以後の生育に備えて休眠させます。
水やり
乾燥にはたいへん強く、長期間水をやらなくても枯れることはありませんが、順調に生育させるためには適期に適量の水やりが必要です。生育期間中は用土の乾き具合に応じて3~7日に1回程度、休眠期間中は極端な用土の乾きを防ぐ意味で15~20日に1回程度水やりをします。
水やりのポイントは、用土の2/3くらい乾いたら、鉢穴から水が流れるくらいたっぷり与えます。時間は原則として朝がよく、日中とくに真夏の日中は根が煮えて腐ることがあるので避けます。気温が高い時期には夕方日が落ちてから行います。気温の低い時期には、晴天の午前中に少量だけ与え、夜間凍結する心配があるときは水を切ります。
植え替え
植え替えて1年もたつと、根が鉢いっぱいに張り生長が悪くなってきます。用土も汚れて水はけが悪くなり、また土中の養分も不足してきます。このため原則として1年に1回は植え替えて用土を更新することが必要です。
用土は、やや荒めの川砂、腐葉土、赤玉土など水はけがよく、同時に保水性のあるものを主体とします。10%程度の割合でくん炭、かきがらなどを加えます。
鉢は、乾きの極端に遅いものや早いものは避け、サボテンの直径よりもひとまわりぐらいの大きさの鉢を使います。大きすぎると過湿になりやすく、生育が悪くなります。
植え替える前に2~3日水を切って、用土を乾かしぎみにし、鉢から株を静かに抜き根についた古い用土を落とします。赤褐色でもろくなった根は切り捨て、鉢におさまる程度まで根先を切り詰めます。切り詰めた根の先から新しい根が出るので、古いむだな根を残さないようにします。軽く湿らせた用土を鉢の半分ぐらいまで山形に入れ、根を広げながらサボテンを置き、引き上げるようにしながら用土を入れ、倒れない程度に浅植えにします。
植え替え後、日照が強すぎる場合は、サボテンの上にティッシュペーパーなどをかぶせて光線を弱めてやります。水やりは、2~3日たって用土の表面が乾いてから、ていねいに行います。
肥料
サボテンは、一般の草花にくらべて生長が遅いので、肥料が多すぎるとかえって根をいためてしまう原因になります。植え替えの時に鉢底に少量の完熟した油カスを置肥する程度にします。