緑花ガイド

ロウバイ

春もまだ遠い1~2月ころ、葉を出す前に枝分かれした小枝いっぱいに、黄色の香りのよい花を咲かせ、花の少ない厳寒期を彩る貴重な花木です。
 とくにソシンロウバイの香りは格別で、シュンランの香りに匹敵するといわれます。
 中国原産の花木で、ロウバイの名の由来は、花弁の色が蜜蝋の色と質感に似ていることから名づけられました。他に、臘月(陰暦の12月)に咲いて、ウメに似た花の意味だとする説もあります。
 中国では、花から香料をとり、花やつぼみ、根は薬用とされます。日本には、17世紀前半に朝鮮半島を経由して渡来し、観賞用として栽培されてきました。
 花が終わると長卵形の偽果ができて、ミノムシがぶらさがっているように見え、その中に1~4個の果実ができます。

ハクモクレン

種類

黄色の花弁に花芯が暗紫色になる一般種のほかに、花弁が広く花もやや大形のトウロウバイ、花全体が黄色のソシンロウバイ、マンゲツロウバイなどがあります。
 類似種に、5~9月に咲く、アメリカ原産の、クロバナロウバイとアメリカロウバイがあります。香りはありません。

ソシンロウバイ
ソシンロウバイ
花弁が透きとおるような黄色
マンゲツロウバイ
マンゲツロウバイ
花弁がふっくらとして、やや濃い黄色

植え付け

乾燥した寒風が当たらず、夏の西日がさえぎられた、腐植質に富んだ、水はけの良い適湿な肥沃地を好みます。半日陰地では、花つきが悪くなります。
 植え付けの適期は、2~3月と11月。乾燥を嫌うので、植え穴には、堆肥を十分にすき込んで土中の湿度を高め、植え付けたら根元に敷ワラをします。
 移植後は生長が止まるので、なるべく移植はしません。老木を移植するときは、1年くらい前から根回しをしておく必要があります。

剪定

生長の遅い木であり、放任しておいても樹形は自然に整うので、剪定はあまりおこなわず、自然に伸ばします。不必要な枝だけを花が咲き始めたころに切り、生け花などに利用します。
 新芽の出る前に、弱い剪定をすると花つきが良くなります。また、古株になっても根元からヤゴを良く出す性質があるので、早めにかき取ります。放っておくと樹形が乱れ、みにくい株になります。

肥料

寒肥として、根のまわりに堆肥を埋め込み、5~6月と8月下旬に油カス、鶏ふん、化成肥料などを根元にばらまいておきます。

繁殖

実生、さし木、接ぎ木、とり木、株分けなどで、増やすことができます。
 実生は、9~10月にとりまきすると、翌年の秋には10~25㎝に伸びて、5~6年で開花するようになります。
 さし木は、6~7月に新梢の部分を挿します。
 ソシンロウバイやマンゲツロウバイは、2月上旬に穂を取って、貯蔵し、3月下旬にロウバイの実生苗か根に切り接ぎをします。

ロウバイ
ロウバイ
花弁の内側がチョコレート色になる
ロウバイの実
ロウバイの実