緑花ガイド

ファレノプシス(コチョウラン)

コチョウランの寄せ植え
コチョウランの寄せ植え

 蝶の形と似ているので、別名胡蝶ラン、園芸店などではファレノあるいはファレとも呼ばれ、親しまれています。
 フィリピン、台湾、スマトラ、ボルネオ、タイ、マレーシア、インド北部など東南アジアの低地に自生する着生ランで、左右に広がる幅広い葉を持ち、樹木の5~10mくらいの所に自生しています。
 花は3~8cmくらいの大きさで、一つの花茎に1~20輪くらいつき、白、桃、白赤、黄、茶があり、そのほかすじの入ったもの、点、しま模様の入ったものなど種類がたくさんあります。
 開花期は冬から春にかけてがほとんどですが、なかには春から初夏にかけて咲くものもあります。花は10日前後咲くのが普通ですが、次々と咲くので、全部咲き終わるのは、1ヵ月から2カ月になり、観賞期間は長くなります。

置き場所

 ファレノプシスにとって、春はまだ十分な温度とはいえないので、5月でも室内に置いて育てます。枯らさずに育てるには最低10℃以上が必要で、18~20℃が理想的な温度です。日中は暖かい場所に置き、3月中はレースのカーテンなどで30%くらいの遮光をします。4月からは日光が強くなり、気温も上がるので、60~70%の遮光にします。6月から9月までは戸外に出して、風通しの良い日陰で育てます。ファレノプシスの葉はデリケートなので、戸外では雨に当てないことと、ナメクジの被害に注意します。
 10月頃からは室内に取り入れ、日中はレースのカーテン越しの窓辺に置きます。冬の夜間は最低10℃以上で、できれば17~18℃くらい保てる場所に置き生育を止めないように管理し、花芽ができるのを待ちます。冬は、開花シーズンなので、温度のほかにも保湿、通風にも注意します。温度が低すぎると生育が止まり、せっかくついた蕾が黄変して枯れてしまいます。生育温度を保っていれば、広い葉を伸ばし続け、葉数が4枚以上になると、葉の基部から花芽が伸びてきます。

水やり

 根がいつも水で湿り過ぎていると、根腐れを起こしやすくなります。水やりの目安は、3月は1週間に2回、4月からは2日に1回です。基本は植え込み材料が乾いてから与えるようにします。
 夏は、生長のさかんな時期で、どんどん水を吸収して生長するので、長時間乾かすことのないようにします。この時期は、1~2日に1回、午前中の涼しい時か夕方に水を与えます。コンクリートの上などで照り返しがある場合は、人工芝などを敷きます。また、周囲に打ち水をして温度を下げ、湿度を高めてやるのも良いでしょう。
 秋は、寒くなるにつれて、吸水量も減ってくるので、水やりの回数や量も少なくします。目安としては、晴天の午前中に与えた水が夕方にはある程度乾く位です。10月までは2~3日に1回、11月からは1週間に2回くらいです。冬の間は、冷たい水を与えるのは避けます。暖房中は湿度が不足するので、時々霧をかけたり、加湿器を置くなどして保湿を心がけます。

植え替え

 植え込み材料が古くなったり、鉢のわりに株が大きくなってしまったときに植え替えをします。適期は、花の終わった3~5月で、水ゴケ植えが一般的です。株を鉢から抜いたら古い水ゴケを取り除き、新しい水ゴケを根の間に詰め込み、根全体を水ゴケで包んで植え込みます。10月以降の植え替えは、生育を止めてしまうので、行いません。

施肥

 6~8月は、新芽がよく育つ時期ですから、ハイポネックス3000倍液を10日に1回与え、厚い大きな葉を育てます。この時期の生育が、よい花を咲かせるために大きく影響するので、管理に気を配ります。9月で新芽が完成するので、9月中にハイポネックス3000倍液を1~2回与え、以後は肥料を切ります。冬から春にかけての寒い時期は、原則として施しません。

病虫害

 葉の表面に水ぶくれのような斑点ができ、翌日にはべとべとに腐る軟腐病は、伝染力が強く、隣の株にもすぐにうつります。また、葉の表面に2mmほどの黒い斑点がでる黒斑病があります。どちらも発生する前から、殺菌剤を定期的に散布し予防します。

支柱立て

 花茎が伸び始めたら支柱を立て、伸びるにつれて誘引してやります。この作業で、花姿がはっきりと見えるように仕上げます。花茎が15~20cmになったら支柱を立て、花茎が曲がらないように、花がきれいに並ぶようにします。それには太陽の方向に花茎を向けて、蕾のうちから花並びを整えておくことが大切です。蕾や花のついた株はなるべくあちらこちらに動かすことは避けます。そうしないと、花の咲く向きがばらばらになってしまい、形よく咲きません。
 また、花が咲き終わったら、花茎を下から2~4節残して切っておくと、4~5ヵ月後に2番花が楽しめます。