緑花ガイド
オンシジューム
オンシジュームの原種は、中南米に広く分布し、さまざまな色や形をした花があります。自生地では木の幹に根を長く張って着生(ちゃくせい)し、木漏れ日を受け、風通しのよい環境で育っています。水分は時折降る雨や朝夕の霧から得ています。新芽が生長する時期は雨期にあたり、十分な水を吸収して育ちます。 薄葉種と厚葉種があり、栽培適温や光の当て方、水やりの仕方が異なりますが、栽培されているのはほとんど薄葉種の原種か交配種です。開花期は品種によって異なり、四季を通じて何らかの開花を見ることができます。花茎が長く伸び、花はリップが発達した独特の形をしていて、花茎の下から上に向かって順々に咲き、1 ~ 2 カ月ほど咲き続けます。
置き場所
遅霜の心配がなくなったら、できるだけ戸外で育てます。薄葉種は最低気温が10℃以上になったら、外に出すことができます。直射日光に当たらない、木漏れ日程度の光が当たる場所に置きます。
10月いっぱいまでは戸外に置き、最低気温が15℃を下回るころ、室内に取り込みます。花茎が出始めている株は、花茎を傷つけないために、気温に関わらず早めに取り込みます。室内では薄いレースのカーテン越しに日が当たる窓辺など明るい場所に置きます。耐寒性が高いので、室内なら年末まで加温しなくてもほとんどの品種は心配ありません。
水やり
春は、新芽の生長とともによく吸水し始めるので、水ゴケの表面に触れて、乾いているようであれば、鉢底から流れ出るくらいたっぷり水を与えます。
小型種ほど多湿を好む傾向があるので、コンポストがつねに湿り気を帯びているくらいがよい状態です。
新しいバルブが十分に太った株( 目安としては、昨年のバルブと同じ程度の大きさに育っている) は、気温の低下とともに水分の吸水量が減ってくるので、乾いたのを確認したあと1 ~ 2 日待ってから与えます。十分に育っていない株は、バルブが太ってくるまで、乾いたらすぐに、鉢底から水がしみでる程度に与えます。
植え替え
開花したバルブの元から新芽が出始めるころが植え替えの適期です。3~4月に新芽が出てきますが、3月はまだ気温が低いので、4 月に入り、サクラが開花するころに植え替えます。
植え込み材料が傷んでしまった株や、鉢から根が出てしまった株は、植え替えが必要です。購入したときにポリポットにバークなどのミックス培養土で植えられていたものも、素焼き鉢に水ゴケで植え替えたほうが、通気性がよくなり、生長がよくなります。植え替えは、2 年に1 回を目安に行います。
施肥
新芽の生長には肥料が大切なので、ハイポネックスなどの液体肥料を10日に1回、2000倍に薄めて施します。
肥料は、9月を目安として、バルブが十分に太ってきたら終わりにします。
バルブが生長を終えたあとの肥料は、根腐れの原因になります。根が腐ってしまうと水分を吸い上げることができなくなり、バルブ自身の養分を消費してしまうので、バルブがしおれてしまいます。
病虫害
花や蕾にアブラムシがつくことがあります。また、虫の排泄物が原因となってすす病が発生し、花、蕾、花茎、葉が黒く汚れ、見苦しくなってしまいます。アブラムシは肉眼で容易に見つけることができるので、見つけ次第捕殺します。
また、低温時に葉に水分がついたままになると、黒斑病など、カビによる病気が発生しやすくなりますので、注意します。
寄せ植えの花後の管理
ギフト用の寄せ植えは、通常2 ~ 3 株を化粧鉢に植え込んで販売しているものが多く、花が終わった後栽培していくのには望ましくありません。4 月の植え替え適期がきたら、寄せ植えをばらして、1 株ずつ素焼き鉢に水ゴケを使って植え替えます。それまでは化粧鉢は植え込み材料の乾きが悪いので、水をやりすぎないよう、鉢内の乾き具合をよく見てから水を与えるようにします。
花が散り始めたら、なるべく早く花茎を切り、切花として観賞しましょう。これは、株の体力を出来るだけ落とさないようにするためです。
コチョウランのように、花茎の節を2 ~ 3 節残して切っても、わき芽が出ないので二番花を見ることはできないので、元のほうから切り取ります。
株によってはバルブに大きなしわができ、やせ細っている場合があります。このような株の花茎は花が一番上まで咲き終わっていなくても、なるべく早いうちに花茎を切って、大きなダメージを受けないようにします。