緑花ガイド
ミツマタ
ミツマタは、ジンチョウゲ科の落葉低木で、クワ科のコウゾや同じジンチョウゲ科のガンピと並び、紙の原料として知られています。
樹高は1~2m、幹はまっすぐに立ち、若枝は緑色で後に黄褐色となり、枝は通常3本ずつに分かれています。樹皮には強い繊維があって、これが紙の原料となり、紙幣、証券類、株券、地図用紙などに用いられます。
名前のとおり三又状に分かれた枝の先端に、7~8月になると白い軟毛におおわれた小指くらいの球状のつぼみができ、3~4月に、芳香のあるたくさんの筒状の花が下向きに咲いて、蜂の巣のように集まって咲きます。
花色は、外側が白で、内側が淡黄色になります。花弁がなく、ガクの先が4裂して花のように見えます。ガクが美しいのはジンチョウゲと同じです。
日本でも本来は製紙のための原料として栽培されてきたものが、この花の姿を観賞するために、庭園や公園に植えられ、また、鉢植えや生け花の材料にも使われるようになりました。
花の内側が紅色のアカバナミツマタや一般種よりも大きな花が咲く大輪ミツマタなどがあります。
中国大輪ミツマタ
在来種の2~3倍の大輪
花色は黄色
植え付け
葉が出る前の3月に、日当たりがよく、水はけのよい場所に植えつけます。多少小石の混じるような排水のよい土や、傾斜面、石積みの上などに植えるとよく生長します。
強い風を嫌うので、台風や冬の北風を防ぐような場所を選びます。植え穴を大きく掘り、完熟堆肥をすき込んで植えつけます。細根が少ないので、根鉢をくずさないようにして高植えにし、支柱を立てます。
植え替え(移植)は、小木のうちは簡単にできますが、大きな木になると難しくなります。
整枝・剪定
枝が3本ずつ出るので、何もしなくても樹冠ができて形は整います。枝先に花をつけるので、できるだけ剪定はせずに自然の樹形にし、枝が混みいってきたら、花後に枝のつけ根から間引きます。
ひこばえは早めに、不要な枝は1~2月に切り取るくらいにして、手をかけないほうが、自然な形で楽しめます。
小さく作りなおすときは、花後すぐに枝のつけ根から切り落とし、剪定します。
施肥
寒肥として、堆肥や鶏ふん、化成肥料を根元に施します。
病虫害
ときどきテッポウムシが発生することがあります。
基本種のミツマタの赤花品種樹姿は全体にコンパクト
花弁の内側が濃い赤橙色になるが、
外側は基本種と同じ銀白色
接ぎ木によって増殖しているので、時々台芽が
でることがあるので、その場合は台芽は切り取る
花弁の内側が咲き始めは黄色で
次第に白色になる
わずかに香りがある