緑花ガイド
マツ類
マツは、日本人の生活に深く関係していて、各地にマツの名木や名所がたくさんあります。
古来より吉祥の木とされ、庭木の主木として植えられたり、門柱の片側に植えられたマツは門冠りの松といわれ、現在も多く植えられています。
また、盆栽の中心的存在としても、古くから栽培され、銘木、古木がたくさんあります。
ひとくちにマツといっても、マツ属の植物は、北アフリカ、西インドならびにマレーシア以北の北半球に約100種があり、葉の数も2葉のもの、3葉のもの5葉のもの、園芸品種では1葉のものもあります。
それらの中で、日本に自生も多く、また広く植えられているのは、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツの3種とその園芸品種です。
植え付け
2月下旬から4月上旬が最適です。日当たり、水はけがよく、樹冠の上にほかの木の枝や建物のひさしなどが覆いかぶさらない場所で、風通しがよい場所に植えつけます。
大きめの植え穴に、堆肥をまぜ、できるだけ高植えにして、支柱を立てます。
病害虫
マツクイムシを筆頭に、アブラムシ、カイガラムシ、マツケムシなどが発生します。さび病、すす病もあるので、殺菌、殺虫剤を定期的に散布して防除します。
「みどり摘み」と「もみあげ」
放任したマツは、枝先の葉が長く伸び、樹形は美しくとも、バランスが悪くなってしまいます。
樹勢の強いクロマツは、4月下旬から6月上旬に、枝先の新梢(冬至芽)を元から摘み取り、前年に出た葉を五分の一ほど残してもぎ取る「みどり摘み」を行います。やがて夏葉がでてきます。10月中旬から12月には「もみあげ」を行います。夏芽を2本残して、他は切り取り、残した新芽の葉を半分ほどもぎとります。前年葉はすべてもぎとります。
ゴヨウマツは、葉の伸びが短いので、ふところ枝や貧弱な枝を切る程度にして、クロマツやアカマツより弱めにみどり摘みをします。また、他の木と枝を接することを嫌うので注意します。
マツのいろいろ
アカマツ
常緑の針葉樹で、樹皮は赤褐色または黄赤褐色。老樹の樹皮は厚く亀甲状に裂ける。葉は2葉で淡黄緑色、葉長は7~12cm。分布は北海道樽前山麓から本州、四国、九州、屋久島、と広く、垂直的な分布は海抜2mから2300mにおよぶ。
品種には、幹が根元近くから箒状に立ち、樹冠が傘形になるウツクシマツがあり、滋賀、岡山、宮城、岩手などに自生している。その他園芸品種には、タギョウショウ、アカヒトハマツ、ジャノメアカマツ、オリヅルアカマツなどがある。
耐乾性が強く、かなりのやせ地でもよく育ち、生育も早いが、大気汚染には弱い。
クロマツ
常緑の針葉樹で、樹皮は灰黒色で、老樹では厚く、亀甲状に裂け、やや厚い鱗片となってはげ落ちる。葉は2葉で濃緑色、葉長は5~16cm。本州、四国、九州、トカラ列島の宝島までと朝鮮南部に自生している。海岸近くに多い。園芸品種には、3葉のサンボンマツ、1葉のクロヒトハマツ、その他シラガマツ、ジャノメクロマツ、ニシキマツなどがある。
耐乾性があり、潮害に強く、大気汚染にもやや強い。土質を選ばず育つが、肥沃な砂質壌土が最適。生長は早い。移植に強く、かなりの大木でも移植可能。
ゴヨウマツ
ヒメコマツともいう。常緑の針葉樹で、樹皮は灰白色で平滑、老樹になると鱗状に剥離し、赤褐色になる。葉は5葉で、淡緑色、葉長は2~6㎝でやや小ぶり。北海道、本州、四国、九州に自生する。変種にマルミゴヨウとキタゴヨウ、品種にトドハダゴヨウがあり、園芸品種にはネギシゴヨウ、シモフリゴヨウなどがある。
ダイオウマツ
ダイオウショウともいう。北米の東南部から南部に自生する常緑の針葉樹で、3葉の暗緑色の葉は、長さ30cm以上にもなる。