緑花ガイド
マーガレット
春3~4月に園芸店などの店頭を飾る数多い花のなかで、マーガレットの純白の花と深く切れ込んだ葉は、ひときわ人目をひきます。
マーガレットは、ギリシャ語のマルガリテース「真珠」に由来し、世界的に親しまれています。学名は、クリサンセマム・フルテスセンスといい「低木状になるキク」の意味で、和名では株の根元が木質化するのでモクシュンギク(木春菊)とかキダチカミツレといわれています。
原種の自生地は、カナリー諸島の海浜で、耐潮風性があり、耐寒性はなく、ヨーロッパに導入された後、主にフランスで改良が進められたので別名パリ・デージーとも呼ばれています。
日本には、明治時代の末に導入され、温室で鉢物や切花として栽培されていたものが、大正時代の中ごろから房総半島で栽培され、のちに静岡の伊豆地方や香川の小豆島、福岡など暖地の無霜地帯で露地栽培が行われるようになり、一般に広まりました。
暖地では露地植えでも1年間を通して開花しますが、東京近辺では、春から秋まで次々と花をつけます。従来から冬の切花として使われたり、春の花壇などにも使われています。また、最近では鉢物やいけばな材料としても広く用いられています。鉢植えでスタンダード仕立てにするには、幹が60cmくらいの高さになるまでわき芽をかきとり、傘状に枝を広げて花を咲かせます。
品種のいろいろ
- 白花種
- 最も親しまれているのは、パリ・デージーと呼ばれている中輪一重の在来種。性質は強健で、フランスでも主要品種となっている。 白花大輪一重は、生育旺盛で草丈が高くなる。高温多湿に弱いので、秋に植え、翌春4~5月の切花にする。 白花大輪八重は、丁字咲きで花もちがよい。「ホワイト・ムーン」、「銀星」などがある。また、「ホワイト・マジック」は矮性で、鉢物やプランターなどに適している。
- 黄花種
- 在来の黄花は、シュンギクに似た中輪の早咲きで、耐暑性が低く、草勢もやや弱い。「伊豆イエロー」は、在来種にシュンギクを交配したもので、国内に出回っている黄花種のほとんどがこの品種。大輪一重咲きで、葉の形もよく、耐寒性も高く強健。
- 桃花種
- 一重咲きの「ピンク・ソフト」は、分枝が多く、横張りする性質があり、多数の花をいっせいにつけるので、花壇や鉢物に適している。このほか、中輪丁字咲きの「ピンク・スター」、大輪丁字咲きの「ピンク・マジック」などがある。
栽培のポイント
マーガレットの好む環境は、日当たりがよく、冬が温暖で夏は低湿の場所で、砂質がかった水はけのよい場所です。生育適温は、15~20℃で、霜に当てなければ越冬します。加湿になると、葉だけが生育して、花がつかなくなるので、水はやりすぎないようにします。
露地での植えっぱなしは、霜の降りない所でなければ無理で、ふつうは親株を温室内で育てて、凍らせないようにし、そこから芽を採って毎年新しい苗を作ります。
さし芽を採る時期は、親株の花が終わり、わき芽が5~10㎝に伸びたころに、葉を3~4枚に整理し、数時間水揚げをした後、赤玉土、川砂などに挿しておくと、約2週間で発根します。
年内に開花させたい場合は、5月に蕾の少ない芽を挿し、6月に定植します。翌春に開花させる場合は、9月に挿し芽し、暖地以外では冬期は温室で育てます。
植えつける用土は、砂質がかった壌土で、排水のよい場所がよく、それに近い条件に改良した土を使います。鉢やプランター用土は、黒土6、腐葉土3、川砂1を混ぜて使います。
- 施肥
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窒素分が多すぎると、葉ばかり茂って、花をつけなくなります。
花壇植えは、用土1㎥あたり堆肥3kg、緩効性化成肥料100gを土とよく混ぜておきます。定植後は速効性化成肥料を少量与えるとよく、特に生育の盛んになる秋には、十分に肥料を与えます。 - 病虫害
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夏の猛暑と乾燥が重なると、枯死することがあるので、敷きワラなどで乾燥を防ぎます。ハダニの発生したときは、すぐに薬剤を散布します。春先の新芽には、アブラムシが発生しやすいので、長期間効果の続くオルトランなどを根元に撒いておきます。
病気では、萎凋病、青枯病、線虫に侵されやすいので、連作は避けます。とくに、ナスやトマトなどナス科の植物の跡地には2~3年あけて植えます。