緑花ガイド
マンサク
春まだ浅い2~3月に、不規則に湾曲した濃黄色の細い花弁の小さな花を枝いっぱいにつける様子は、派手さはないが、早春の花木として、昔から珍重されています。
早春に「まず咲く」という意味で名づけられたという説がある一方で、このよれ曲がった花弁の姿を、輪になって豊年踊りを踊っている人々になぞらえて「万作」という説もあります。
牧野富太郎博士の一説では、この花が枝に満ちあふれる姿から「豊年 満作」であるともいわれます。
稲作農耕であった日本人は、春一番に咲く豊かな花を見て、春の田おこし作業にかかる前に、神々に豊年満作を祈願してきたようです。
マンサクは、ほぼ日本中の山々に自生していますが、葉に毛が多く老成葉になっても星状の毛が残るアテツマンサク、日本海沿岸に多く、葉の先端が円形か半円形のマルバマンサク、葉も花弁も普通種より大形のオオバマンサクなど変種がたくさんあります。
園芸品種もいくつかあり、花弁の基部が紅紫色で先が黄色のニシキマンサク、花弁全体が紅色を帯びているアカバナマンサクなどがあります。
中国原産のシナマンサクは、日本種より花色が黄金色をし、大きく強健で、秋の黄葉も美しく、この葉が翌年まで落葉しないで残ります。
アメリカマンサクの花は、ニシキマンサクに似ていますが、よい香りがします。
植え付け
2月下旬から3月上旬に、腐植質に富んだ排水のよい湿潤で肥沃な場所に植えます。特に、夏の乾燥や強い日照には弱いので、大きな樹の下などに植えるとよいでしょう。
根鉢よりやや大きめの植え穴を掘り、完熟堆肥や腐葉土をたっぷりすき込んで、土中の湿度を保つようにします。
整枝・剪定
11月から翌年2月ころ、混みすぎた枝を切る程度に剪定します。強い刈り込みにも耐えるので、狭い場所などでは、4月中旬ころに、適宜切りつめます。6月以降は花芽を切り取ることになるので剪定は行いません。
施肥
1~3月に、根元のまわりに堆肥などを埋め込みます。8~9月に、油カスと化成肥料を等量混ぜたものを根元にばらまいておきます。
繁殖
2月下旬に根接ぎをするのが一般的です。台木は、マンサクの自根を使うのがもっともよく、はじめは生育が悪くても、後には大株となります。イスノキを台木に用いることもできますが、途中から生育が悪くなる傾向があります。
病虫害
ミノムシ、コガネムシ、カミキリムシが寄生することがあります。殺虫剤を散布するか見つけ次第捕殺します。
真冬から冬の終わりにかけて暗赤色の花が咲く
真冬に大きい赤銅色がかったオレンジ色の花が咲く