緑花ガイド
クリサンセマム
クリサンセマムとは、キク属の植物の総称で、キク属の学名クリソス ( 金色 ) とアンティマム ( 花) の合成語で、シュンギクの黄金色の花からつけられたといわれています。この中には、キクをはじめ、一年草から多年草にいたるまでの、たいへん多くの植物があります。
黄色い花「クリサンセマム」といわれるように、黄色い花色をもつ原種が世界中に200 種ほどあるといわれ、そのほかにも白や桃色、赤色の花も少なくありません。
園芸上クリサンセマムと呼ぶと きは意味が狭く、一~二年草の中の数種を指しています。
種類
☆クリサンセマム・パルドーサム・“ノース ポール”
北アフリカ原産のパルドーサムの園芸品種で、種苗店などでは単に「ノースポール」と呼ばれています。葉はシュンギクを小さくしたような形で、草丈は20㎝くらいで、わき枝を伸ばして広がり、株幅30㎝くらいになります。3~6月に直径2cmほどの白い一重の花びらに、黄色い目をもった小花を群開します。
日本には昭和40年代に導入され、丈夫で開花期間が長く、早春から初夏まで咲き続けるので、現在では春花壇に欠かせない植物になっています。
クリサンセマム・ノースポール
☆クリサンセマム・コロナリウム
地中海沿岸東部に広く分布していて、ハナゾノシュンギクの和名があります。日本で食用にされるシュンギクと同じ種類で、草丈は80㎝くらいに伸びて、多くの分枝を出し、その先端に花径5cm前後の黄色やクリーム色の花をつけます。野菜として多く栽培されていて、食用として若芽が用いられるのでなかなか花を見ることがありません。
欧米では食用としてはにおいが強いので用いませんが、中国や東南アジアでは広く栽培されています。
花壇植えのほかに、草丈が伸びるので切花にも適しています。日本のシュンギクも、家庭菜園での残り株が春に花茎を伸ばして、黄色の花を咲かせます
☆クリサンセマム・ムルチコーレ
アルジェリア原産で耐寒性の一年草ですが、関東地方では霜よけをしないと越冬できません。花は直径2cmで、輝くような黄金色で花びらは光沢があり、葉は淡緑色でやや肉厚で小さい。細い茎が地面を這うように広がり、草丈15cm、株張りは30㎝くらいまで広がります。
早春から咲きはじめ、初夏まで長く咲き続けます。多花性なので最盛期には1株に30花以上咲きます。ノースポールよりもやや暑さ、寒さに弱い傾向があります。日本にはノースポールよりもやや早く導入され、花壇の縁取りやプランター植えに利用されていますが、和名はまだつけられていません。
クリサンセマム・ムルチコーレ
種子まき
寒冷地以外では、9月下旬から10月上旬に、箱や鉢などに、水はけのよい土を用いて、ばら播きにし、砂混じりの土を覆土します。ムルチコーレは、高温では発芽しにくいので、早播きは避けます。約1週間で発芽し、本葉が2~3枚出たら5cm間隔に仮植します。ノースポールは本葉が6~8枚になる10月下旬に花壇などに定植します。ムルチコーレは寒さにやや弱く、株の大きさに比べて根の数が少ないので、鉢植えで育てて、霜よけかビニールトンネルをかけて、翌年の3月下旬に定植します。
定植
日当たりと排水のよいことが大切で、低湿地は避けます。株の植え付け間隔は15cmほどとり、生育に応じて、1株おきに間引きします。
施肥
定植時に1㎡あたり、1握り程度の化成肥料を入れて、土とよく混ぜておきます。生育が悪ければ、追肥として薄い液体肥料を2~3回与えます。
肥料は、控えめにするほうが、葉が茂り過ぎなくて、しまった株になります。
病虫害
ときどきアブラムシが発生しますので、殺虫剤を散布して、駆除します。
利用法
ノースポールは花期が長く、価格も安いので、植え付け面積を広くとり、カーペット状に植えつけると見栄えがします。
また、ノースポールとムルチコーレで縞模様の花壇を作ったり、花壇の縁取りや、石組みの隙間に植えつけたり、アプローチの所々に自然風に植えてもおもしろい。
一度作ると翌年からは、自然にこぼれた種子から芽が出て、毎年開花します。