緑花ガイド

カランコエ

 カランコエ属の植物は、ベンケイソウ科に属する、多年草または低木状の多肉植物で、約100種あり、マダガスカルや東アフリカを中心に世界の熱帯圏全域に分布しています。
 一般にカランコエ( 紅弁慶) の名前で園芸店などで売られているのは、カランコエ・ブロスフェルディアーナおよびその園芸品種で、クリスマスから年末にかけて、ポインセチアなどとともに、冬の鉢花の代表的なものとして広く作られているのは、ドイツなどで育成された園芸品種で、鉢花として親しまれています。
 花は4弁で、長く伸びた花梗の先に多数つき、房状に集まって咲きます。花色は赤色を主に、深赤色、オレンジ、ピンク、黄色などがあり、高性の切花用品種と矮性の鉢物用品種とが、品種改良によって多く作りだされています。

カランコエ(一重咲き)
カランコエ(一重咲き)
カランコエ(八重咲き)
カランコエ(八重咲き)

高性種は、草丈25~50㎝になり、主に切花用、ときには摘心して鉢物用。
 緋紅色系には、ブリリアントスター、アルフレッド、グレーシャー、メロディー、レッドグローなど。
 黄色系には、ゲルバー、リーブリング、ゴールドヒブリーデンなど。
 桃色系には、スイスローズなど。
矮性種は、草丈10~20㎝の鉢物用。
 緋赤色系には、テトラバルカン、トムサム、バルカンなど。
 黄色系には、イエロートムサムなど。
 オレンジ系には、グロリエッテ、オレンジトライアンフなど。

管理のコツ

☆夏は水やりを少し控えめにし、秋になったら多めに与えるようにします。冬は水やりを控えて、乾き気味にします。水はけが悪くなると、すぐに根が腐ってくるので、水はけには十分に注意します。
☆夏は半日陰の涼しい所に置き、冬は日当たりのよい室内で水やりを控えめに管理すると、花つきがよくなります。
☆冬期は最低8℃以上を保つようにすれば、2月頃に開花します。3℃程度の低温で凍らないようにすれば、3月には花をつけます。
☆花の後は、花梗を切り取り、追肥を与えておくと、新芽が伸びてくるので、6月頃にさし芽をして殖やすことができます。

繁殖

 現在市販されているカランコエは、茎ざしによって殖やされた品種で、種子を播いて作るものはほとんどありません。
 挿し芽は、5~6月に、花が咲かなかった茎の先を、鋭利な刃物で3~4cm の長さに切り、赤玉土や川砂、バーミキュライトなど肥料分のない土に挿します。 根が出るまでは半日陰に置いて、用土の加湿に注意し、さし土の表面が乾いたら水を与えます。
 2~3週間ほどで発根したら、3号鉢に赤玉土と腐葉土を等量混ぜた土に植え替えます。育ってきた苗は、8月下旬に摘心を行い、わき芽を出させ、コンパクトな草姿に仕立てます。
 9月になると生育が旺盛になってくるので、4号鉢に植え替え、2カ月ほどそのまま生育させ、11 月中旬に5号鉢に定植します。
 温室内で育てると、1~2月頃に開花し始めます。

肥料

苗を鉢にあげてから蕾が見える頃まで、2週間に1回の割合で、液体肥料を施します。

病虫害

 高温多湿でクキグサレ病、低温多湿で灰色カビ病が発生します。多湿になりすぎないように注意し、病気が発生しないようにします。
 また、さし芽による栄養繁殖なので、親株がウィルス病にかかっている場合は、殖やした株もウィルス病になっているので、親株は無病株を使うことが大切です。

利用

 鉢植えが最も一般的で、ベランダやテラスで手軽に楽しむことができます。プランターに数株群植すれば、ボリュームが出て、見た目にも豪華です。
 地植えにする場合は、冬の保温に注意して育てます。

カランコエ・ウェンディ
カランコエ・ウェンディ

オランダで作出された園芸品種
矮性で、鐘状の花がたくさん咲く
花は、茎の先端につき、径15 ㎜、長さ20 ㎜、
長い鐘状の濃赤紫色で、先端は淡黄色
ハンギングに作るとおもしろい