緑花ガイド
カンノンチクとシュロチク
カンノンチクとシュロチクは、江戸時代から古典園芸植物として人気があり、二つをまとめて「観棕竹」(かんそうちく)と呼ばれ、まとめて扱われる場合があります。
カンノンチクは、沖縄、奄美大島から台湾、中国南部にかけて自生する亜熱帯性植物です。シュロチクとともにヤシ類の中では矮性な種類で、シュロチクよりも節間が短く、葉も短く、掌状の深裂葉で6~8枚、小葉裂片は5~10枚で先端は歯状になります。寒さに弱く、-3℃以下の低温に10時間以上あうと枯れてしまいます。
シュロチクは、中国南部の原産で、カンノンチク同様亜熱帯性植物ですが、耐寒性は多少勝り、暖地なら露地植えしても越冬しますが、-3℃以下の低温は避けます。葉は7~18片に分裂した掌状の深裂葉で、裂片の幅がカンノンチクに比べて著しく狭く、節間が長く樹高が高くなります。
栽培のポイント
もともと山間の谷間沿いなどの半日陰地に生育する植物なので、夏の強光線や通風不良を嫌います。とくに、斑入り品種は夏期の直射日光に長時間当てると、葉焼けを起こします。ただし、日光不足だと葉や幹が徒長し、生育不良となることがあります。
カンノンチク、シュロチクとも乾燥を嫌います。しかし同時に注意しなければならないのが、鉢土の中に水分が滞るために起こる根腐れです。そこで不要な水はすぐに鉢底から流れ出るように、水はけが良い土で植え込む必要があります。
植え替え
カンノンチク、シュロチクの栽培には、排水性、通気性の良さが大切な条件となりますので、鉢土内に根が回りきったときは、植え替えを行う必要があります。時期としては、5月上旬が最適です。
栽培に適する鉢の条件としては、水はけの良いこと、空気の流通が良いこと、適度な保水力があることなどです。昔から用いられている楽焼の観音竹鉢は、鉢底に作られている3個の足が排水性、通気性を良くする効果があり、生育のためには最適です。しかし、高価であるので、一般には同様の形をした信楽焼の鉢を使います。
用土は、水はけを良くするために、川砂を主体とします。しかし、川砂だけでは保水性に欠けるので、赤玉土などを2~3割加えるか、用土の上にミズゴケを薄く敷いてやります。
株が大きくなった時は、一回り大きな鉢を用意し、鉢底に荒目の赤玉土を入れ、抜き取った株は、からみあった根をほぐしながら、ていねいに古い土を落とします。鉢の中にできるだけ根を広げた状態で置き、用土を入れて植え付けます。
植え替え後1~2週間は、直射日光と強風の当たらない場所で管理します。
肥料
油カスの団子を置肥します。4~8月にかけては、月1回、指頭大の団子を鉢の縁に1~2個与え続けます。冬の間は、肥料は与えません。
病虫害
カイガラムシやダニ、斑点病、白毛病などが発生することがあります。カイガラムシは、見つけ次第捕殺し、ダニ類には、カラセンなどの殺ダニ剤、斑点病などの病気には、殺菌剤を定期的に散布し、予防します。
殖やし方
植え替え時に、本葉が5~6枚以上ついている子株を切り離して、植え付けます。