緑花ガイド
カキ
家庭用果樹としておなじみで、甘柿と渋柿があります。
渋柿でもアルコールなどでシブを抜くとおいしくなり、また干し柿にしても食べられます。
江戸時代には400もの品種があったといわれ、古くから品種改良が盛んで、各地に特産の品種があります。
甘柿は寒地ではシブが抜けないため、関東以西で多く栽培され、渋柿は暖地に植えると肉質が悪くなります。
用途も柿シブ、柿の葉茶、甘柿、干し柿、家具材など広く利用されています。
品種
- 「富有」・・・甘柿で果肉に褐色の斑が入らない扁平な大果をつける晩生種である。雄花はつかない。
- 「次郎」・・・甘柿で中心部が少しへこんだ大果をつけるのが特徴である。雄花はつかない。
- 「甘百目」・・・甘柿で円筒形の大果をつける。果実の肉質はやや粗い。
- 「禅寺丸」・・・不完全甘柿で丸形の中果をつける。実つきがよいだけでなく、雄花が多いので、授粉樹としてよい品質である。
- 「平核無」・・・渋柿で寒さに強く、肉質がよい。よくたる柿にされる。
- 「西条」・・・渋柿で干し柿に向いている中国地方の特産品種である。雄花はつかない。
- 「四溝」・・・渋柿で受粉のいらないタネなし果である。
その他、実成りがよく、観賞用の柿として、ロウヤガキ、シセントキワガキ、マメガキなどがあります。
植え付け
11月下旬から3月頃までに植えつけます。植え傷みしやすいので、苗はていねいに扱い、根を乾かさないように注意します。深根性なので、植え穴は深めに掘り、堆肥をよくまぜて、高植えにします。植え付け後は、地上部を半分に切り詰め、支柱を立てます。
施肥
植えつけた年は肥料を控え、2年目から寒肥として、堆肥、腐葉土などを施します。
病害虫
炭そ病や黒星病などには、冬の間に石灰硫黄合剤を散布します。カキノヘタムシは、5月下旬から9月に定期的に殺虫剤を散布します。
剪定
自然に樹形が整いますが、放任すると実がたくさんつきすぎて木が疲れ、翌年は実の数が減ってしまう隔年結果になりやすい木です。毎年実をならせるなら、摘果も必要です。
カキは、枝の先端部付近から出た新梢に着果するので、果実をならせるためには、枝の先端を切らないようにします。充実した新梢の先端の2~3芽が花芽になり、翌年、そこから伸ばした枝のつけ根付近に開花、結実します。
枝の切り詰めは、花芽を落とすことになるので、基本的には間引き剪定を行います。花芽のつかない徒長枝や込み合った部分の不要枝を切り落とします。
また、木が大きくなりすぎた場合は、何年かに一度は、実をあきらめて大きく切り戻して、仕立て直します。
実が落ちてしまう原因
実が青いうちに落ちてしまう原因は、二つ考えられます。
一つは、授粉が不完全な場合と、結実数が多すぎたことによる生理落果です。雄花の少ない品種は、雄花の多い授粉樹(禅寺丸など)をいっしょに植えて、授粉の確率を高くします。また、開花終了後一ヶ月くらいの間に起こる生理的落果が終わるのを待って、果実1個あたり葉30枚程度の割合で余分な果実を摘果して、実の数を少なくしてやります。
7月中旬までに起こる生理落果は、質のよい実と樹勢を保つために必要なものなので、心配はいりません。
もう一つは、カキノヘタムシによる被害です。この被害は、枝にヘタが残るので、すぐに見分けがつきます。食害を防ぐには、冬の間に幹の粗皮をはぎ、中にいる越冬幼虫を捕殺するか、発生前から定期的に殺虫剤を散布します。