緑花ガイド

ドウダンツツジ

 春にはスズランに似た可憐な花をつけ、萌黄色の若葉の季節を経て、秋には鮮やかに紅葉します。日本の山地に自生し、花、紅葉それぞれに美しく、刈り込みにも強い特性や樹形のおもしろさで、古くから庭木として植栽されてきました。
 樹高は2~3mで、主枝がまっすぐに伸びるため、低木としては整った姿になります。
 ドウダンツツジの名は、〈灯台ツツジ〉が語源といわれています。むかし、夜間の照明をとるために広場に置かれた結び灯台の脚が、輪状に伸びた枝の形に似ていたところからつけられました。
 矮性種や紅花種のほか、近縁種にもサラサドウダンや ベニドダンなど花の美しいものがあります。

ドウダンツツジ つぼ形の白花
ドウダンツツジ つぼ形の白花
ドウダンツツジ 玉作り(落葉期)
ドウダンツツジ 玉作り(落葉期)
ドウダンツツジの生垣
ドウダンツツジの生垣

植え付け

 2月下旬から4月中旬または9月下旬から10月が適期ですが、ほかの季節でもできないことはありません。日当たり、水はけ、水もちがよく、肥沃な場所が理想です。根鉢よりも2倍ほど大きい植え穴を掘り、堆肥や腐葉土を混ぜ、やや高めに植え付けます。
 とくに夏は水切れを起こさないように注意します。植え付けた年は、根元にマルチングをしてやります。また、紅葉を美しく見るには、日当たりよりもむしろ風通しがよく、夜は冷える場所に植えます。

整枝・剪定

 萌芽力が強いので、自在に刈り込みができます。5~6月の開花直後に刈り込み剪定をします。紅葉を楽しむためには、6月中旬までには樹形を作っておき、落葉後は翌年に備えて軽く整えておきます。
 花芽は、新梢の充実した短枝の先端につき、翌年に葉と花が同時に出ます。花を楽しむ種類は、花後に不要な枝を切る程度にします。
 玉作りや円錐仕立てにしたり、生垣や低い植え込みにも利用できます。美しい樹形に仕立てるには一度に強く刈り込まず、軽い刈り込みを繰り返して整えていきます。自然樹形の場合は、特に剪定は必要ありません。
 生垣は、春の新芽の美しさを見たあとに刈り込むか、紅葉後に刈り込みます。

施肥

 2月上旬に窒素成分の少ない化成肥料か鶏ふんを根元に施します。

病虫害

 6月から10月にかけて、ハマキムシやアブラムシ、カイガラムシが発生することがあります。見つけしだい、殺虫剤を散布します。根元にテッポウムシも入るので、注意します。

繁殖

 一般には、さし木によって殖やします。6~7月に、新しく伸びた枝が堅く充実したころ、この新枝を挿します。さし土は赤玉土か鹿沼土を使います。穂木は長さ15~20㎝に切り取り、上部の葉を5~6枚残して、下部の葉は全部取り除き、7~10㎝程度挿し、十分に潅水します。半日陰に置き、10月中旬ころまで潅水管理を行っていれば、よく発根します。2年後には小苗になります。

サラサドウダン

 日本の本州(近畿地方以北)と北海道の山地に自生する落葉低木で、高さ3~7mになります。新しく伸びた若枝の先に、5~7月に5~15個の鐘形をした小さな花が下垂して咲きます。花は淡紅白の地に紅紫色の縦すじがあり、更紗染めに似ているのでこの名がつけられました。清楚で品格のある花とともに、秋の紅葉もまたすばらしいものがあります。
 変種に花が濃紅色で花糸に長い毛が生えるベニサラサドウダン、花序が長く花数が25~40個もつくカイナンサラサドウダン、花の切れ込みが深く花糸に長い毛があるツクシドウダンなどがあります。

ベニドウダン

 シロドウダンの変種で、本州の西部、四国、九州の山地に自生する落葉低木で、高さ約2mになります。花は5~6月、紅色の釣鐘形で、枝先に総状について下垂します。

サラサドウダン
サラサドウダン
黄色に紅色の縦じま
花形はつぼ状ではなく釣鐘形
紅色の強い品種もある
ベニドウダン
ベニドウダン
花が房状になって垂れ下がる