緑花ガイド
カトレア
カトレアは、ブラジルを中心とした中南米に分布する着生(ちゃくせい)ランで、高さ2~10mくらいの高さの所に着いて生活しています。根は幹や枝の樹皮の上に広く張り付いています。
自生地は雨期と乾期がはっきりしている所で、乾期には霧が長時間発生しているため、雨がなくても株は枯れません。樹木に着生しているので、終日直射日光に当たることは少なく、多くは半日陰になっています。
花は2 ~ 3 週間くらい咲いていて、普通は年1 回開花しますが、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲き、不定期咲きの品種があるので、それらをうまく組み合わせることによって、一年中花を見ることができます。
一般にカトレアと呼んでいるのは、カトレア属とその近縁の属であるブラサボラ属、ソフロニティス属、レリア属との間で属間交配が行われ、これらの属間交配種を含めたものを“ カトレア” と呼んでいます。
“グレネリーズ グリーン ジャイアント”
“オーキッドグレード”
置き場所
カトレア類には、大輪が咲く一般種と、ソフロニティスのように低温で育つ小輪種に分けられます。
一般種は、冬期の最低気温が15~17℃あればよく育ち、よく咲きます。冬と春は、日中日光がよく当たり、空気の動きがある窓辺などに置き、夜は保温しやすい場所におきます。5~9月まで戸外で50%遮光をし、11月からは加温できる暖かい場所に置きます。
冬の時期は、春咲き種と夏咲き種は生長中なので、不十分な保温だとバルブが育たず、花芽ができません。
小輪種は、冬期の最低気温が10℃前後まで下がってもよく、一般家庭の室内でも作ることができます。
水やり
カトレアは、年中同じように生長しているのではなく、生長に一定のリズムがあります。新芽が伸び始めるころから、シース( バルブの頂上につく花のさや) が完成するまでが成長期です。水やりは、このリズムをよく見て( 新芽が生長しているかいないか) 、成長期には与える回数と1 回に与える量を多くし、反対に休止期には、水分をあまり必要としませんので、成長期の3分の1くらいに減らします。
11月から翌年3月までの期間、温室内で14~15℃以上を保てる場合、新芽が出始めるまでは4~5日に1回、水ゴケが乾ききったときにたっぷりと与えます。新芽が伸び始めてからは2日おきくらいに与えます。部屋の中で10℃以上の気温が保てない場合、芽が出るまではシリンジ( 葉面への霧吹き) 程度にとどめ、芽が出てからは4~5日おきに軽く与える程度にします。5月から10月までは、戸外で雨に当てるか、晴れた日が続いた時のみ2日おきに与えます。
植え込み材料の違いや植え方の違いなどで、それぞれの鉢の乾き方が違いますから、よく観察して、鉢ごとに加減をしてやることが大切です。
植え替え
鉢からバルブがはみ出しているもの、根のひどく傷んでいるもの、水ゴケが腐りはじめているものなどは、新しい水ゴケに植え替えてやります。鉢も新しいものに取り替えます。
植え替えは、4月から5月が適期です。春咲き種では花が終わった株、秋咲き種と冬咲き種では新芽が2~3cm伸びたときに行うのがよいでしょう。
バルブの数が5バルブ以上の株は、植え替えと同時に株分けをすることもできます。葉のついたバルブを2~3本ずつに分けて植え込みます。植え替えは水ゴケが傷みきらないうちに2 ~ 3 年ごとに行い、芽の伸びる側の水ゴケをつけたまま植えたほうが、翌年の花つきがよくなります。
施肥
新芽が伸び始めたころに、油カスと骨粉を等量混ぜて固めたものを1個与えるか、またはハイポネックスなどの液肥を1000倍にして月に2回ずつ新葉が半開きになるまで続けます。
新芽が完成するころからは、肥料はほとんど必要なく、もし与える場合はごく薄い液肥(ハイポネックス3000倍)を月1回くらいにします。
病虫害
病気としてはウィルス病が一番恐ろしく、一度かかると回復は困難です。葉に濃淡のモザイク状の斑点ができたり、花が奇形になったりします。防除法はありませんので、侵された株は、処分します。惜しんでいると、他の健全な株へも伝染するおそれがあります。株分けや植え替えの時に使った刃物などをそのまま別の株に使うと伝染するので、刃物は火で焼いて消毒してから使います。
花が咲く時に、気温が下がり湿度が高いと、花弁に小さなしみができるボトリチスという病気にかかります。高温にして乾燥気味にすると止まります。
害虫では、カイガラムシの被害が多く、早めに殺虫剤を散布して防除します。
低温でも栽培できるミニカトレア
カトレアの原種