緑花ガイド

アナナスの仲間

アナナスの仲間には、ミニ観葉として親しまれているクリプタンサスから、尺鉢で育てるパイナップルまで、いろいろなサイズがあります。
 現在市販されている主な品種は、フリーシア・ポエルマニー(和名オオインコアナナス)、グズマニア・マグニフィカ、エクメア・ファスシアータ(和名シマサンゴアナナス)、チランジア・シアネア(和名ハナアナナス)、斑入りパイナップルなどがあります。
 約50属1500種あるといわれる膨大なグループで、南アメリカとくにブラジルに多くの種類が自生しています。観賞用アナナスのほとんどは着生種で、樹木や岩に付着して育ちます。

チランジア・シアネア
チランジア・シアネア
グズマニアの寄せ植え
グズマニアの寄せ植え

草姿や花形のおもしろさ、3~6ヵ月に及ぶ観賞期間の長さ、乾燥に強く、形が変わらず、子株がふえるなど、家庭で楽しむ鉢物として適しています。
 気温が20~25℃あれば年間を通じて生育しますが、一般家庭では4月下旬から10月中旬までが生育期で、冬は生育を停止します。
 アナナス類は、葉の表裏に吸収りん毛という特殊な組織が密についていて、水や肥料分を吸収するしくみになっています。

置き場所と管理

種類、品種により好む光量が異なりますが、エクメア・ファスシアータ、ネオレゲリア・トリカラー、チランジア・シアネアなど、葉の厚い系統の種類はレースのカーテン越しなど明るい半日陰に、オオインコアナナス、グズマニアなど葉の厚みの薄い種類は、部屋の中央部など日陰で育てると丈夫できれいに育ちます。生育期には、なるべく戸外の木陰など涼しい場所を選び、十分な肥料と水を与えて育てます。
 10月下旬になったら室内に取り込んで、最低7~8℃が保てるぐらいの暖かい場所で冬越しさせます。

水やり

季節を問わず、水を与えるときはたっぷりと、間隔は鉢土の表面が乾いたときに与えます。生育期は葉筒の水が入れ替わるように、また吸収りん毛から吸水できるように、直射日光を避けた場所で葉上から行います。水やりの間隔は夏は毎日、春と秋は3日おき程度にします。越冬中は葉筒に水をためず、1ヵ月に1回程度、日中の暖かい時間に鉢土だけに与えるようにします。

肥料

生育期間中に、油カスと骨粉を混ぜた肥料を、1~1.5ヶ月に1回の間隔で与え続け、夏の間に十分に育てます。それ以外の期間は肥料は与えません。

花の咲かせ方

アナナス類は、自然開花期以外でも、いつでも開花させることが出来ます。開花できる株の大きさは、その株の葉数で決まります。斑入りパイナップルで40~50枚、エクメア・ファスシアータで10~13枚、グズマニア・マグニフィカで20~25枚、チランジア・シアネアで40~50枚が目安です。
 大きなポリ袋の中にアナナスの株を鉢ごと入れ、リンゴを1個一緒に入れて、袋の口を輪ゴムでしばり密封します。1日1回、袋の口を開いて中のガス(空気)を交換して、また密封します。この作業を繰り返して1週間後に袋から出し、いままで通り栽培を続けると、2~3ヶ月後に開花してきます。

ネオレゲリア・カロリーナ
ネオレゲリア・カロリーナ
エクメア・ファスシアータ
エクメア・ファスシアータ

殖やし方

アナナスは、一度咲いた株は二度と咲きません。普通は花つきの株を買うわけですから、その株は観賞したらそれで終わりです。
 しかし、花の終わるころから、株元から子株が育ってきます。花つきの株を買ったら、たとえ花が終わっても、4月から9月まで十分に肥培して子株を育てます。子株をはずして育てると、また新しい子株が発生してきます。こうして1株から2~3年の間に何本もの子株を取ることが出来ます。
 小株の葉数が6~10枚になったら、子株の基部の固い部分をつけて親株から切り離し、ミズゴケで鉢に植えて育てると、1~2カ月で発根します。
 株分けした子株は、1~2年で開花できる株に育ちます。

斑入りパイナップル